仙台アートピアノ@仙台七夕まつり

第5弾は、8月6日(土)~8日(月)の仙台七夕まつりで展示された仙台アートピアノの企画をご紹介します。

当日の様子

◆ 仙台アートピアノ
展示日程:2022年8月6日(土)~8日(月)
会場:ピアノサロンREFRAIN(ルフラン)
主催:武内 園子先生(ピティナ正会員/仙台おりひめステーション代表/株式会社S.A.musicking代表/一般社団法人 ~東北を明るくする~ 仙台ストリートピアノ協会代表)
アートペイント:木村 直人さん(東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻)
ゲスト演奏:太田 糸音さん(2016年ピティナ・ピアノコンペティション「特級」銀賞・聴衆賞)

東北三大祭りの一つともされる「仙台七夕まつり」。3年ぶりの開催に多くの人でにぎわう商店街のアーケードから、通り一本入った場所に、大きなピアノの形の看板を掲げる「ピアノサロンREFRAIN(ルフラン)」がひっそりと佇んでいます。ここは武内園子先生(ピティナ正会員/仙台おりひめステーション代表/株式会社S.A.musicking代表)が運営するコンサートやイベントなどで利用するピアノサロンカフェで、敷地内には吹き抜けの小さな庭がついています。

仙台七夕まつり
ルフラン外観

七夕祭りの期間中、このかわいらしい坪庭に映える、カラフルなストリートピアノが展示されました。暗いニュースが多いこのご時世に、「明るい気持ちになれるカラフルなピアノをどなたでも演奏できる空間をつくり、美術と音楽の力で仙台の皆さんに元気を届けたい」という武内先生の想いからスタートした企画です。ピアノは、武内先生が子どものころ祖父に買ってもらい、長らく使われていなかった想い出のアップライトピアノをリサイクルしています。

中庭
武内先生

ペイントを施したのは、東京藝術大学で油絵を学ぶ木村直人さん。親戚のピアニスト・小川典子さんを通じて武内先生と繋がりが生まれ、今回の企画に参加しました。作品を完成させるためのあらゆる準備を惜しまないという木村さんは、今回「ピアノ」という特殊なキャンバスにペイントを施すにあたり、楽器の構造や材木について徹底的に知るため、静岡・浜松のピアノ工房まで見学に行かれたそうです。

作業①
作業②
塗料を塗れるパーツ・塗れないパーツを構造から理解したうえで、養生・塗装へ。作業は丸三日かけて行われました。
木村直人さん
今回はあえて柄を取り入れず、緑の多い仙台市のイメージからアースカラーをベースに、鍵盤の周辺は走る手指が映えるようにポップで明るいカラーにまとめました。仙台ならではの色と、武内先生の「気持ちを明るくするピアノ」という想いを、うまく表現した配色にできたと思っています。
今回の企画は、親戚を通じて「クラシック音楽」に関わる人の真面目さや伝統を重んじる姿勢に長く触れていた私にとって、少し怖いチャレンジでもありました。伝統的な「黒いピアノ」に自分の描く「明るいピアノ」を上書きして、クラシック音楽の世界の人々に受け入れていただけるのだろうかと。でも、やるからにはこだわりぬこうと思い、職人さんにきちんとピアノの構造を学んでから取り組みました。

実際のところ、七夕まつりの期間にルフランでお披露目されたアートピアノには、たくさんの人が集まってきました。小学生にスーツを来たサラリーマン、趣味で習っているご高齢の方まで、思い思いにアートピアノの前に座り、演奏する姿が見られました。中には、全国のストリートピアノ情報を見つけては弾きに行くのが趣味という、東京からの来場者も。たくさんの人がアートピアノを囲む光景に、木村さんも心から嬉しそうな様子です。

来場者①
来場者②

七夕まつり最終日の8月8日(月)には、サプライズゲストが。2016年ピティナ特級で銀賞・聴衆賞を受賞し、現在は国内外で活躍するピアニスト・太田糸音さんが、このストリートピアノを演奏しに来てくださいました。太田さんが来ると知ったお客さんで、小さな中庭は大賑わい。太田さんの繊細かつ迫力のある演奏がアートピアノから生まれ敷地内に広がると、その音に引き寄せられるようにお店の外からも人がやってきました。最後には、東日本大震災のチャリティーソング「花は咲く」のアレンジも披露され、涙ぐむ人の姿も見られました。

お客さん
太田さん①
太田さんの演奏を聴きに来た観客で、大賑わいの中庭。2階テラスからも人がのぞいています。
太田さん②
今年6月に仙台国際音楽コンクールで入賞することができ、またいつか仙台の皆さんに演奏を届けられたらと思っていた矢先にいただいたお話でした。感謝の気持ちを込めて、曲目にコンクールで弾いた曲や「花は咲く」を含めてみましたが、お客さんがとても喜んでくださったのを間近に感じられました。
私は小学生の時から美術館で絵画を見たりするのが大好きだったので、「アートペイントされたピアノで演奏を」とお話をいただいた時は、率直にとてもわくわくしました。木村さんの素敵なペイントによる「美術の力」が「音楽の力」に上乗せされていたからこそ、今日聴きに来てくださったお客さんの喜びも倍増したように思います。

かねてから「美術×音楽」のコラボレーションで企画をつくり、街に広げていきたいと考えていた武内先生。今後はこのアートピアノを、美術館コンサートや画廊での企画などに発展させていきたいと意気込んでいます。企画の様子が地元のニュースで報じられたことを受け、その後自治体や地元の楽器店などからさっそく今後のコラボレーションの相談が入っているとのこと。「美術×音楽」で今後仙台市がどのように盛り上がっていくのか、次の企画展開も楽しみです。

当日の様子
武内 園子先生
(ピティナ正会員/仙台おりひめステーション代表/株式会社S.A.musicking代表/一般社団法人 ~東北を明るくする~ 仙台ストリートピアノ協会代表)
顔写真

「演奏すること」と「美術作品を作ること」はどちらも「表現する」ということが共通しています。今回アートピアノを通して、私の大好きな「音楽」と「美術」が一つの作品となりました。それを演奏する人、見る人、聴く人などたくさんの人が関り、温かい時間ができることを目指しています。また、芸術への夢を持つ人が夢を叶えられるような環境作りをお手伝いしたいと思っています。美術館にはキュレーターと呼ばれる人がいるように、自分も様々な場面で多様な音楽会をキュレーションすることが生涯の目標です。

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