サロン・ド・テ・シェモザー

第3弾は、5月21日(土)に奈良県葛城市の音楽サロン「Chez Mozart(シェモザー)」で開催された異文化体験コンサート「サロン・ド・テ・シェモザー」のレポートをお送りします。

当日の様子

◆ サロン・ド・テ・シェモザー
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開催日程:2022年5月21日(土)
会場:音楽サロン「Chez Mozart(シェモザー)」(奈良県葛城市)
主催:岡田 一美先生(ピティナ正会員/かつらぎステーション代表)
広報協力:毎日新聞社、奈良新聞社

奈良県南部に位置する自然に囲まれた町・葛城市。葛城高原のふもとに広がる田園風景の中に、異国情緒あふれる音楽サロン「Chez Mozart(シェモザー)」が誕生したのは2002年のことです。オーナーの岡田一美先生(ピティナ正会員/かつらぎステーション代表)は、このサロンを起点に様々な異文化体験・異文化交流を楽しめるプロジェクトを展開しています。

当日の様子
当日の様子

「サロン・ド・テ・シェモザー」は、コロナ禍で音楽を通じた交流が減ってしまった地域の方々に癒しのひと時と交流の場を、そして音楽家に演奏活動の場を提供したいという想いで、2021年4月から開催している企画。コンセプトは「季節を愛で、食と音楽で世界を旅するサロンコンサート」です。
コンサートでは毎回「ブラームス」「バロック」「クラシックギター」など、音楽のテーマが決まっています。観客は演奏を聴き、各回のテーマで演奏される作曲家の愛した料理や祖国の郷土料理を黙食で楽しみます。料理はすべて、岡田先生のお手製!食を通じて音楽の生まれた文化的背景を感じられるよう計算された、こだわりのメニューが提供されます。

当日の様子
当日の様子
食材の一部は、シェモザーの庭で栽培されたものを使用しています。

今回のテーマは、シューベルトが親しい人だけを自宅に集めて楽しんだ音楽会「シューベルティアーデ」です。大ベテランの国際的ピアニスト・田崎悦子先生(ピティナ正会員)の演奏で、シューベルトの最晩年のピアノ・ソナタ3曲を楽しむ豪華なプログラム。深く、迫力満点の演奏の合間に、貧乏なシューベルトが安いお肉で作ってよく食べたという東欧料理・グラーシュやニシンのサラダなど、シューベルトゆかりの料理が提供されました。参加者は田崎先生の演奏とトーク、美味しい料理に、文字通り「満腹」の様子です。

当日の様子
当日の様子
国際的なピアニストの演奏を、この距離で聴ける迫力。
この日は東京から田崎先生のファンも駆け付けました。

公共ホールなどの文化的拠点が少ない奈良県南部で、シェモザーのような異文化体験のできる芸術の拠点はとても貴重。新聞の取材が入ったことで話題を呼び、現在では地域の人だけでなく、このサロンでの異文化体験を楽しみに遠方からやってくるお客様も増えてきました。

地域の方の声

趣味でクラリネットをやっていて、奈良県各地の音楽好きが集まるアンサンブルなどをやっていたのですが、コロナで全部なくなってしまいました。もう音楽とは遠ざかってしまうかと思っていたところ、新聞でシェモザーの存在を知って、大ファンになりました!サロン・ド・テは初回から皆勤賞で、何があっても予定を空けて来ています。

地域のピアノ学習者の声

サロン・ド・テだけでなく、サロンで開催するマスタークラスやレッスンでも、岡田先生は必ず何かしらの形で異文化を感じながら音楽を学べるように仕掛けを作ってくれるので、作曲家の生きた文化を感じることができます。

ボランティアスタッフの声

以前、スタッフの安藤久美先生が、地元の當麻寺の伝説「中将姫」を題材に作曲・作詞・演出を手掛けたオペラ作品のミラノ公演が実現しました。本当に貴重で素晴らしい機会だったのですが、この公演はシェモザーというコミュニティでスタッフ一人ひとりのご縁が繋がったからこそ実現したものでした。岡田先生のお人柄もあって、多様な人や文化が引き寄せられてくるサロンなので、関わっていて飽きません。

当日の様子
当日の様子
演奏と食事の合間の談話で、お客さん同士のコミュニティがつくられています。
この日は、シェモザーの庭でティータイムを楽しむ「ピクニック」も。

岡田先生の長女・岡田真季先生(ピティナ正会員)のフランス留学をきっかけに親しくなった一般財団法人ロマン・ロラン研究所の宮本ヱイ子さんは、シェモザーの「文化で人を繋ぐ」取り組みに深く共感するサポーターの一人です。
「私たちはフランスの作家ロマン・ロランの文学や平和活動の精神に勇気をもらい、人権や平和について考え、発信する活動を行っています。ロマン・ロランは音楽と文学の架け橋を作った人でもあり、ドイツの音楽家を主人公にした『ジャン・クリストフ』はノーベル平和賞を受賞しました。文学と音楽で媒体は異なりますが、音楽で様々な国の文化を繋げるシェモザーの取り組みは、人権や平和を考えるにあたっても、とても大切だと感じます」

当日の様子
岡田一美先生(左)と宮本ヱイ子さん(右)

大人数での会食や集会が長らく制限されていましたが、音楽と食事は、人や文化を繋げる大切なコミュニケーションの場。コロナ禍でも工夫してそうした場をつくり続け、奈良県から世界へ繋がるコミュニティを築くシェモザーは、これからも多様な人や文化が集まってくる奥行きが感じられるサロンです。

当日の様子
シェモザーの取組に惹かれて集まるボランティアスタッフたちと。
岡田 一美先生(ピティナ正会員/かつらぎステーション代表)
顔写真

コロナ禍のある日、バッハを聴きながら、ふと閃いた新しい形のコンサート企画「サロン・ド・テ」。微力ながらも音楽家を支援するためにと始めた企画ですが、いつも私の方が音楽に励まされ、前に進む勇気をもらっています。素晴らしい演奏に出会うたび、その作曲家の偉大さや、作品に一生懸命寄り添う演奏者のひたむきな姿、限りない人間の可能性に感動します。
海の向こうでは理不尽な戦争が続き、人間の愚かで醜い姿は何も産み出さないと実感する日々です。私たちは平和の中にいるからこそ、皆で集まって素晴らしい音楽を共有し、笑顔で交流することができます。
この音楽という美しいものを通じた繋がりを、永く続けることができますように!これまで支えて下さった全ての方に感謝を込めて。

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